蚕(カイコ)は蛾の仲間ですが、飛べないことをご存知でしょうか?
蚕が好きで自宅で飼育する人もいるようですが、飼育してはじめて蚕が飛ばないことを知る人も多いようです。
しかし、江戸時代頃の木版画では、蚕蛾が空を飛ぶ様子が描かれていますが、昔は飛んでいたのでしょうか?
この記事では、
・蚕が飛べない理由とは
・蚕は昔は飛べたのは本当?
について、紹介したいと思います!
蚕が飛べない理由とは
蚕が飛べない理由は、蚕の繭(まゆ)から効率的に糸を生産するために、人間が品種改良を重ねた結果です。
明治時代に入ると、蚕糸業が国内で広がり、蚕の卵が大量に必要になりました。
これにより、蚕の卵の生産を増やすための品種改良が進み、蚕の産卵量は大幅に増加しました。(1匹あたり600粒)
蚕の品種改良の過程で、卵を多く保持するために蚕蛾の雌の体が大きくなり、その代わりに羽が栄養を得られず退化してしまいました。
さらに、飛べる蚕蛾は繁殖の管理が難しいため、飛べない種類が選ばれるようになったようです。
飛べなくなっても、蚕は人間が管理する環境で羽化し、オスとメスが必ず出会えるようになっているので、繁殖することは可能です。
蚕は繭を作った後、約2週間で蛾になります。
蚕は昔は飛べたのは本当?
蚕は、もともと「クワコ」という昆虫を人間が品種改良しながら家畜化した生き物です。
そのため、クワコだった頃は他の昆虫のように空を飛んでいました。
しかし、蚕の品種改良が始まった時期や、いつ頃から飛べなくなったのかなど、はっきりとした事は現在も分かっていません。
江戸時代頃の木版画では、蚕蛾が空を飛んでいる様子がよく描かれていますが、蚕蛾ではなく、他の品種である可能性もあります。
クワコは、中国や台湾、朝鮮半島、日本列島に生息している生き物です。
気になる方は、カイコとクワコの違いなどを調べてみてはいかがでしょうか?
蚕が飛べない理由:まとめ
この記事では、蚕が飛べない理由や、昔は飛べたのか、祖先の品種などを紹介しました。
- 蚕が飛べない理由は、蚕の繭(まゆ)から効率的に糸を生産するために、人間が品種改良を重ねた結果です。
- 蚕の品種改良の過程で、卵を多く保持するために蚕蛾の雌の体が大きくなり、その代わりに羽が栄養を得られず退化してしまいました。
- 飛べる蚕蛾は繁殖の管理が難しいため、飛べない種類が選ばれて品種改良されたようです。
- カイコの祖先であるクワコは、現在も生息していて空を飛んでいます。
白くてフワフワした見た目が可愛いカイコですが、「蚕を成虫にしてはいけない」という話を聞いたことはありませんか?
繭から糸が取れる貴重な蚕は、昔は色々と規制があったようで、気になる方はこちらの記事を参考にしてみて下さいね。
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